和解では実質的に竹内氏の主張が認められたー国立大学の監事職経験のある堀龍之弁護士

平成28年12月24日

丸の内綜合法律事務所

弁護士 堀 龍之

 裁判上の和解においては、双方の主張の当否や事実の存否については判断されず、互譲により紛争の解決が図られます。

 本件の和解条項を拝見しますと、富山大学が懲戒解雇処分を取り消して出勤停止60日の処分とし、竹内潔氏は出勤停止期間終了の1か月後に自己都合退職すること、富山大学は解決金等約750万円を支払うことが合意の骨子となっています。

 本件仮処分においては、富山大学の行った懲戒解雇処分が適法であったかどうかが激しく争われたものですから、裁判所が本件処分の適法性に疑念を持ち、相当強く本件処分の撤回を富山大学に示唆しない限り今回のような和解はあり得なかったものと思われます。

 懲戒解雇を取り消した上で出勤停止60日の懲戒処分を行い、出勤停止期間終了後に自己都合退職するという和解条項は、本件処分の正当性を自ら否定することができないという富山大学の体面を考慮し、実質的に竹内潔氏の主張を認めさせるという裁判所の配慮によるものと思われます。多くの法律実務家は同様の評価をするものと思います。

2017年01月05日|和解:和解について